マネーの虎のその後【世界一のパスタ屋】９８０万円マネー成立後！初日オープンまで！
目次
初日オープンに向けて
世界一のパスタ屋を開きたいと豪語した男。
その男に美空ひばりの長男、加藤和也が惚れ込み、全額の９８０万円を投資。
札束を手にその男は決意を口にした。
血の一滴、一枚一枚、使わせて頂きます。
加藤和也もその男を前面バックアップするという。
果たしてその男は巨額を投じるに値する男だったのか。
世界一のパスタ屋９８０万円物語が始まる。
翌日、男の９８０万円物語は始まった。
１円たりとも無駄には出来ない。
なぜならその男は現在無職。
１４歳の年下の妻がコツコツと貯めた貯金で生活させてもらっていたから。
１週間後、早くも現金は動き出した。
その男が掴んだ９８０万円のうち、４１８万円が店舗物件代として使われた。
１万円札の１枚１枚に野心が込められている。
開店までの金のやり繰りに苦しむ…
その犠牲者は最愛の妻だった。
全体金額が４８０万。
金がみるみる無くなっていく…
金が足りない…
何かあった時にと思って一生懸命貯めたお金だからさ。ね。
大事に使って。
うん。
男が掴んだ現金９８０万円は幸せをもたらす金なのか。
マネー成立後、もう引き返せない定めに男は、そして妻は翻弄されていく。
甘かったかなあ…
高いなあ。
これ以上ダメだよ…
家のお金は。
ヤダよ… それは。
金はもう無い。
男は業者に頼むべき作業を自分でやる事に決めた。
とにかく金が無い…
まだ１円も利益を上げてない。
経営者としてもがき苦しむ姿がそこにある。
その苦しみは妻をも巻き込んでいった。
一方、厨房では信頼するシェフの手で、世界一と豪語するパスタの試作品が次々と完成していった。
とにかくパスタの味には絶対の自信があった。
金のなるパスタ。
男はそう信じていた。
男）これ商品になる。これ美味いんで。
絶対に出る。これ売りになるで。
味が美味い。それ以上の武器は要らなかった。
勝てる。絶対に勝てる！
後は、ノルマを達成できるかどうかだ。
オープン当日！現場訪問
これですね。
おはようございます！
おはようございます。
どうも。ご無沙汰しております。
どうも。お久しぶりです。
広いですね。
何人ぐらいお客さん…
４４席ございます。
カウンターと、あの時話したブース席と、テーブルと。
オープンキッチン。
はい。一応コンセプト通りにほぼ近い状態に作れました。
売上目標は？
まあ今日は、初日…
加藤社長ともお約束したんですけども、１２０名のお客様と…
１２０！？
１日でですよね？
１日です。
売上が１５万。
１５万？
はい。それは絶対実現します。
今日１日、様子の方を見させて頂きますので、頑張って目標の方を達成して下さい。
ハイ！頑張りますんで、よろしく本当にお願いします。
加藤社長と交わしたノルマは、１日の来客数１２０人、そして売上１５万円。
これを達成して初めて成功と言えよう。果たして…
じゃあオープンするよ！２分前
よし行こう。
ついに世界一のパスタと豪語した現金９８０万円が審判の日を迎える。
１日１５万円。売上なるか！？
初日オープン開店！
いらっしゃいませ。
オープンしましたのでよかったらどうぞ。
オープンしましたのでよかったらどうぞ。
客が来ない…
男の思惑とは違った
時間だけが過ぎてゆく
オープンしましたのでよかったらどうぞ。
オープンしましたのでよかったらどうぞお待ちしてまーす。
客が一人も来ない…
オープンしましたのでよかったらどうぞ。
ランチタイムの１時間が過ぎても誰も来ない…
この店は、世界一の美味いパスタの店。
食えば分かる。
そう念じるしか無かった。
そして…
どうも！どうぞどうぞ。
カウンターでいいですか？
どうぞご案内します。
いらっしゃいませ！
カウンターがいいですか？
初めての客。
ようやく店に明るい光が差し込んできた。
真新しい厨房から、オリーブオイルでガーリックを炒める音と匂いが広がる。
味には絶対の自信があった。
とにかく、食べてみればどこよりも美味しいパスタだと分かる。
味に説明は要らなかった。
男はたまらず感想を聞いてしまった。
どうでしょう？
美味しいです。
大丈夫？
良かった！
初めて見せる男の笑顔だった。
しかし、１日の来客数１２０人。売上１５万円を上げてこそ成功と言える。
果たして…
どうぞ、いらっしゃいませ！
その後も客足が途絶え得ることは無かった。
活気に満ち溢れた店内。
注文に次ぐ注文。
厨房ではめくるめくパスタの品々が次々と出来上がっていった。
それは正に、男が想像していた夢の砦、サクセスストーリー。
この至福の時がいつまでも続いて欲しい。
しかし、何度も言うように、この世界は数字が全て。
ノルマを達成出来なければ、９８０万円をドブに捨てたも同然。
因みに、来客数１２０人、売上１５万円というノルマを達成するには、４４席ある店内が最低でも３回転しなければならない。
かなり高いハードルと言えよう。
果たして、結果はいかに。
午後11:00 初日営業終了
ついに男の戦いは終わった。
午後１１時、９８０万円を全額投資した加藤和也がやってきた。
当然目的はひとつ。約束したノルマ１５万円を達成しているかどうかを聞くため。
このあと、意外な売上金額を発表する！
こんばんは！
こんばんは。
聞きたいことはただ一つ。ノルマを達成したかどうか。
どうでしたか？
今日やっとオープンで。
おめでとうございます。まずは。
本当にご迷惑お掛けしました。
やっとですね、今日初日で。
やっと船出できました。やっとこ。
まあ小さい船ですけど。
で、どうですか？
一番最初に自分が想像してたお店作りという事では。
理想のお店に近づきました？
まあ、それなりに満足しています。
若干ひとつだけ心残りはありますけど。
何が心残りでした？
今入って来られるとご存じだと思うんですけど、床がひいてあったと思うんですけど、テラスが無い。
結局、予算内で収めるためには買えない。
無理して買うか、９８０万円で止めて自分が恥かいてゴーかけるか２つの選択の中で、僕は恥かく方を選択しましたんで。
恥を選んだその男に、加藤は納得の表情。
しかし、そんな浪花節を聞きに来たのではない。
朝お聞きした時は、今日の目標として、来客人数が１２０人っていいましたよね？
はい。
売上目標が１５万円。
はい。
まだ見てないんで。
あっ、そうですか。
それはお会いしてからと思ってましたんで。
何度も言うが、１日の来客数１２０人、売上１５万円を達成してなければ、男と男の約束に背くことになる。
マネーの虎ではそれは失敗と見なされる。
その男は虎となるのか！？
全ては数字。売上という結果次第。果たして…
お待たせしました。
このあと男は信じられない金額を口にする！
えー、１４７名。
１６万８４００円。
以上です。
行きましたね。
１４７名？
はい。
目標金額達成したじゃないですか。初日。
１２０名が１４７名。
とりあえず決めたノルマを超えたっていうところで。ね。
結構プレッシャーだったでしょ。
そうですね。
結構じゃないですね。
かなり。
どうですか？
お客さんの顔が浮かびますね。
本当に今日はまだ、オープンのお祝いで来て下さったお客様が、地元の方が何人もいらっしゃると思いますから。
立ち上げてこれから大変ですよ。
やっぱりね、前向きに２号店３号店と目指して。
だって世界一のパスタ屋っていうのが謳い文句な訳だから。
やっぱり。ね。
その辺でどんどんお客さん回していくために、どうしたらいいかってことは、またこれから色々考えていかなきゃいけないと思うし。
３ヶ月目くらいからが勝負だと思いますし。
それまでにリピーターがどんどん来てくれる様に。
でも欲を言えば遠方からもわざわざ来る様にっていうのが一番目標ですよね。
しかし、まだプロローグに過ぎない。
さあ、虎になれ。
パスタの虎になれ！
